イタリア政府は9月27日、2019年の経済財政計画で合意したと発表した。焦点の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.4%。EUの財政規律を順守するものの、当初の目標を大きく上回り、財政再建が遅れることになる。
同国で6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「5つ星運動」と「同盟」の連立政権はEU懐疑派で、単年の財政赤字をGDP比3%以内に抑えることを各国に求めるEUの財政規律にも批判的。イタリアの政府債務はGDP比131%と、ユーロ圏でギリシャに次ぐ高水準にあるものの、ともに副首相を務める5つ星運動のディマイオ党首、同盟のサルビーニ党首は政権公約で掲げた貧困層への支援拡大など財政再建と逆行するばらまき政策を推進する方針を打ち出している。
閣内では財政運営をめぐり、経済学者出身で政治家ではないトリア経済・財務相が財政規律重視派で、19年の赤字をGDP比1.6%程度に抑えることを目指しているとされ、両副首相と対立していた。合意した赤字幅は財政規律の許容範囲内に収まったものの、前政権が目標に掲げたGDP比0.8%を大きく上回り、副首相側が押し切った格好となる。
政府は予算案の詳細を固め、議会に提出するが、欧州委員会の承認も取り付ける必要がある。財政再建軽視が鮮明になったことで、欧州委が承認を渋り、見直しを求めるのは確実。イタリア国債の格下げも見込まれている。このため28日のイタリア株式市場では株価が急落した。