イランとの貿易継続へEU主導でSPV設立へ、米以外の核合意当事国が合意

米国が離脱したイラン核合意の存続を目指すEUと英国、ドイツ、フランス、中国、ロシア、イランは9月24日、ニューヨークで外相級会合を開き、今後も合意を堅持し、イランとの貿易を継続するための仕組み作りに取り組む方針を確認した。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は会合後の記者会見で、イランとの貿易継続に向けて特別目的事業体(SPV)を設立すると発表した。詳細は今後詰めるが、イランとの間で合法的に金融取引ができる体制を整え、EU域外の第3国も決済システムなどを利用できるようにするという。

トランプ政権は5月に核合意を離脱。8月初めにイランへの経済制裁を一部再開し、自動車や鉄鋼などの取引を禁止した。11月にはイラン産原油の輸入禁止を含む第2弾の制裁を発動すると表明している。

EUはこれに対し、イランと取引がある欧州企業を保護するための対抗策として、8月上旬に域内の企業が米国の制裁に従うことを原則として禁止する「ブロッキング規則」を発動。8月下旬には核合意に基づく協力関係の一環として、イランに対する1,800万ユーロの支援策を打ち出しており、SPVを通じた決済システムの構築はこれに続く措置となる。

EUと当事国は共同声明で「核合意の完全かつ実効的な履行」を継続する方針を強調。原油を含む輸出入の決済など、イランとの円滑な取引を可能にする「決済手段の構築に向けた現実的な提案を歓迎する」と表明している。

モゲリーニ氏は会見でSPVの設立構想について、「実際のところは、EUがイランとの合法的な金融取引を可能にする法的枠組みを構築することを意味する。欧州企業がEUの法律に沿ってイランとの取引を継続し、域外の国もこの枠組みを利用できるようにする」と説明。近く専門家による会合を開き、計画の詳細を詰めるとつけ加えた。

上部へスクロール