欧州証券市場監督機構(ESMA)は9月28日、個人投資家に対するCFD(差金決済)取引の販売やマーケティングを制限する措置を3カ月延長すると発表した。ESMAは複雑で投機性の高いCFD取引を巡るトラブルから個人投資家を保護するため、8月1日から3カ月の期限付きでレバレッジ(証拠金倍率)規制などを実施しているが、取引の透明性や損失リスクなどを巡る懸念は払拭されていないと判断し、11月1日から3カ月の延長を決めた。
CFDは国内外に上場する株式、世界の主要市場の株価指数、金や原油などのコモディティ商品、外国為替などを対象に、証拠金にレバレッジをかけて取引する仕組み。少額の証拠金を取引業者に預託し、取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる。CFDでは見込める利益と損失リスクの不均衡などが問題視されており、EU域内では個人投資家の9割近くが損失を被っているとされる。
CFD取引に対する規制の柱は、主要FX通貨、金、個別株式など商品の種類ごとに、マージン率の上限を30倍から2倍の範囲で制限するレバレッジ規制。ESMAはこのほか◇保有しているポジションが一定の水準以上に損失を受けた場合、損失がそれ以上拡大しないよう保有しているポジションを強制的に決済するロスカットレベルを50%以上とする◇口座単位でのマイナスバランス保護◇インセンティブに関する制限◇個人投資家の口座に対する損失割合を含む、標準化されたリスク警告――を定めている。