ギリシャ政府は9月27日、金融危機を受けて3年前に実施した資本規制のうち、国内の銀行口座からの引き出しを制限する措置を10月1日付で解除すると発表した。危機が終息し、取り付け騒ぎが起きる恐れがないと判断した。EUの金融支援が8月に終了したのに続き、経済・金融システムの正常化を印象付ける形となる。
ギリシャでは2015年6月、反緊縮を掲げるチプラス政権の発足で軌道に乗りつつあった財政再建が混迷化したことで、EUが金融支援を凍結し、欧州中央銀行(ECB)が「緊急流動性支援(ELA)」に基づくギリシャの銀行に対する追加の資金繰り支援を行わないことを決定したことを受けて、金融不安が深刻化。政府は6月に資金の移動を制限する資本規制を導入した。
預金引き出し額は当初、1日当たり最高60ユーロに制限されていた。その後に段階的に緩和され、現在は月5,000ユーロまで引き出すことが可能となっている。10月からは同制限がなくなる。
その他の規制は継続されるが、個人が海外に持ち出せる現金の上限が3,000ユーロから1万ユーロに引き上げられる。また、業務目的の海外送金を制限する措置も緩和され、上限額が1日当たり4万ユーロから10万ユーロに拡大する。