欧州委員会は9月26日、オンラインプラットフォームと広告業界がフェイクニュースのまん延を防止するための自主的な対策として行動規範を策定したと発表した。EUでは来年5月に欧州議会選挙を控えており、欧州委は選挙に影響を与える可能性のある偽情報がインターネット上で拡散するのを防ぐため、プラットフォーム事業者に自主規制の強化を求めていた。
欧州委によると、フェイクニュース対策に関する行動規範には◇虚偽情報を拡散するウェブサイトやアカウントの広告収入の遮断◇広告主体者の明示◇政治広告の透明性向上◇フェイクニュースを拡散するボット(自動プログラム)の監視強化◇ネット上の虚偽情報をモニターするファクトチェック組織のネットワーク構築――などが盛り込まれている。
米大統領選挙や英国のEU離脱を決めた国民投票では、ソーシャルメディアを通じた外国の干渉が指摘されている。欧州委は欧州議会選挙に向けてこうした事態を防ぐため、プラットフォーム事業者などに対し、7月までにフェイクニュース対策に関する行動規範を策定するよう求めていた。欧州委は行動規範に署名した企業や団体の具体名を公表していないが、関係筋によると米グーグルやフェイスブックをはじめとするプラットフォーム事業者のほか、両社やアップル、アマゾン・ドット・コムなどが加盟する業界団体EDiMAなどが含まれているもようだ。
欧州委のガブリエル委員(デジタル経済・社会担当)は今回の動きについて「民主主義への信頼を脅かす問題の解決に向けた重要な一歩だ。2019年5月の欧州議会選挙に向け、行動規範が透明で公正な、信頼できるオンラインキャンペーンに貢献することを希望する」と業界の取り組みを歓迎。そのうえで、自主規制の「明白な成果」がみられない場合、拘束力のある規制の導入を含む追加的な対策を検討すると強調した。