独高級車大手のポルシェは9月23日、ディーゼル車の製造・販売事業から撤退すると発表した。ディーゼル車から撤退する独自動車メーカーは初めて。親会社であるフォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車排ガス不正問題でブランドイメージが損なわれたほか、都市部での走行制限を背景にディーゼル車の需要が減少していることを踏まえた措置。今後はガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車に経営資源を絞り込む。
ポルシェはSUV車の「カイエン」「マカン」、4ドアセダン「パナメーラ」でディーゼル車を製造・販売している。同社の販売台数に占める割合は小さいものの、走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を2020年以降、平均95グラム以下に抑制することをメーカーに義務づけるEUのルールを順守するためにはディーゼル車が欠かせないと判断し、同事業を行ってきた。
ポルシェはディーゼルエンジンの開発・製造を手がけておらず、すべてVWグループから供給を受けてきた。このためディーゼル車排ガス不正問題のしわ寄せで、リコール(無料の回収・修理)を余儀なくされたことに対するポルシェの怒りは大きく、オリファー・ブルーメ社長は昨年7月の時点で、ディーゼル車の廃止を選択肢の1つとして検討していることを明らかにしていた。
ポルシェが主に手がけるスポーツ車にディーゼルエンジンは適さないという事情も今回の決定を後押しした。