スイスの製薬大手ノバルティスは9月25日、今後4年間にスイスと英国で計2,550人の従業員を削減すると発表した。人員削減は2015年に打ち出した経営戦略の一環で、大量生産からより専門的で、個別化された医療用医薬品の製造に重点を移すのに伴う措置。生産ネットワークの調整を進めて経営の効率化を図り、革新的な新薬の開発を推進する。
削減の対象となるのはスイスの4工場(バーゼル、シュタイン、ロカルノ、シュヴァイツァーハレ)の従業員およびバーゼル本社の総務部門で従事する合わせて2,150人と、閉鎖が決まったイングランド北東部のグリムズビール工場で働く400人。総務部門では2022年までに管理・業務関連の最大700人を対象に、本社から世界5カ所のサービスセンターに配置転換する。
ノバルティスは医薬品部門の営業利益率を現在の31.3%から業界標準の35%に引き上げることを目指しており、一連の人員削減は目標を達成するうえで不可欠な措置と説明している。ただ、同社は8月、スイス東部シュタインにある細胞・遺伝子治療薬の生産拠点に向こう3年間で9,000万フラン(約100億円)を投じ、450人を新規雇用する計画を発表しており、今後も世界の従業員(現在は約12万4,000人)の少なくとも10%をスイス国内で雇用する方針を表明した。
ノバルティスは中核の医療用医薬品事業に経営資源を集中させる取り組みを進めており、6月には眼科関連事業の子会社アルコンをグループから分離し、2019年前半にスイス、ニューヨークの証券取引所に上場させる計画を打ち出している。