英国とスイスは11日、英のEU離脱後も現在の貿易関係を維持する協定を締結した。英国はスイスがEUと結んでいる協定に沿った関係を3月末に離脱した後も継続し、関税引き上げなどを避けることができる。
両国政府の協定には英フォックス国際貿易相とスイスのパルムラン経済相がベルンで署名した。英政府によると、同協定によって国内の自動車業界が年最大800万ポンド、アルミニウム業界が同400万ポンドの関税を課される事態を回避できるという。フォックス国際貿易相は「英国の雇用を守ることに寄与する」と意義を強調した。
EUは域外の71カ国・地域と40件の貿易協定を締結している。英国は離脱後にこれらの協定が適用されなくなるため、個別に新たな協定を結ぶことを目指している。しかし、これまでに締結したのはチリ、イスラエルなど一部だけ。日本や韓国といった主要国との交渉は難航している。英国がEUとの合意がないまま離脱する恐れがあることから、今後の動きを見定めるまで協定合意を見送ろうとする国が多いことが背景にある。離脱予定日の3月29日までに交渉を完了するのは困難な情勢だ。