ドイツ大手銀行のドイツ銀行とコメルツ銀行は17日、合併に向けた交渉を行っていることを明らかにした。実現すれば資産規模で英HSBC、仏BNPパリバに次ぐ欧州3位の銀行が誕生する。
両行の合併観測は、欧米の複数のメディアが10日に報じで浮上した。ドイツ銀のゼーヴィング最高経営責任者(CEO)が取締役会から3週間前に交渉を委任されたという。両行は声明を発表し、報道内容が事実であることを確認した。
ドイツ銀とコメ銀はリーマンショックに端を発する金融危機以降、業績が低迷。他国の大手金融機関に大きく水をあけられている。ドイツ銀はドイツ企業が国際展開するうえで必要不可欠の存在と目されていることから、政財界は同行の不振の長期化に危機感を抱いている。特に今後の景気の悪化をきっかけに経営危機に陥ることを懸念しているもようだ。政府ではオーラフ・ショルツ財務相と財務省のイェリク・クーキース事務次官(投資銀行ゴールドマン・サックスの元行員)が両行の合併を強く求めている。
ゼーヴィングCEOは2月、「当行には計画があり、それに取り組んでいる。それ以外について私は何も考えていない」と明言し、合併観測を否定した。それにも関わらず合併協議を開始したのは、政府の圧力が強いためとみられる。