FCAがルノーに経営統合を提案、日産・三菱含めた年産台数は世界1位に

欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は5月27日、仏ルノーに経営統合を提案したと発表した。両社の株主が50%ずつ出資する統合新会社を設立する方向で交渉を進める。実現すると両社を合わせた年間販売台数は約870万台となり、独フォルクスワーゲン(VW)とトヨタに次ぐ世界3位の自動車メーカーが誕生する。

FCAの提案によると、オランダに持ち株会社を置き、その傘下にFCAとルノーが入る形。統合会社の取締役は計11人で、FCAとルノーからそれぞれ4人ずつ出すほか、日産からも1人指名する。統合による工場閉鎖などは行わない計画。車両設計や電気自動車など多くの分野で技術の共通化を進め、投資の効率化を追求するとしている。

ルノーと連合を組む日産自動車と三菱自動車は統合案に含まれていないが、両社を含めた4社の年間販売台数は1,500万台を超え、VWやトヨタを引き離して世界トップとなる。カルロス・ゴーン前会長の逮捕を受けて4月にはルノーが日産に経営統合を持ちかけたが、日産は拒否している。ルノーがFCAの提案を受け入れた場合、日産への統合圧力は一時的に弱まる可能性もある。

日産、ルノー、三菱の3社連合は29日にトップ会談を開き、ルノーがFCAとの経営統合交渉の進捗について説明した。出席者によると、ルノーのスナール会長は日産の西川広人社長らに対し、FCAとの統合に向けてサポートを要請したもよう。3社は会談後、「FCAの提案についてオープンで透明性のある議論を行った」とのコメントを発表した。

FCAとルノーの統合によって日産と三菱を含めた「4社連合」が実現すると、資本関係が大きく変化する。現在はルノーが日産株の43.4%、日産がルノー株の15%(議決権なし)を相互に保有するほか、フランス政府もルノー株の15%を保有している。FCAとの統合が実現すると新会社への出資比率はそれぞれ半分に下がり、日産に対する仏側の影響力が低下する一方、日産は新会社がオランダに置かれることで議決権を得るものの、連合内での発言権が低下する可能性がある。

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