ギリシャで10日、議会の解散と総選挙実施が正式に決まった。総選挙は7月7日に行われる。チプラス首相が欧州議会選挙での与党・急進左派連合(SYRIZA)の敗北を受けて決断したもので、与党の苦戦が予想される。
SYRIZAは5月末に実施された欧州議会選で、中道右派の最大野党・新民主主義党(ND)に9.5ポイントの差をつけられて敗北した。これを受けてチプラス首相は5月26日、議会を解散し、総選挙を4カ月前倒しで実施する意向を表明。10日にパブロプロス大統領に解散を求め、承認された。
チプラス政権はギリシャが債務危機から脱け出しつつあった2015年1月に発足した。前政権がEUによる金融支援の条件として進める厳しい財政緊縮策に異を唱え、政権を握った。
チプラス首相は当初、前政権がEUと約束した緊縮策を中止した上で財政健全化を進める方針だった。しかし、EUと対立し、債務危機の懸念が再燃。最終的にEUと妥協し、追加の増税や年金削減などの緊縮策を推進することで新たな金融支援を取り付けた。
これによって債務危機は沈静化し、18年8月に金融支援から脱却したものの、緊縮維持が公約に反するとして多くの有権者の批判を浴びている。さらに、隣国マケドニア(現・北マケドニア)と国名をめぐって対立してきた問題で妥協したことも反発を招き、欧州議会選で大敗した。
チプラス首相は予定通り10月までに総選挙を実施すると、選挙戦モードが長引き、国内経済に悪影響を及ぼすとして前倒し総選挙に踏み切ったが、世論調査ではNDがリードしている。