欧州議会選でロシア発の偽情報、欧州委が報告書公表

欧州委員会は14日、5月下旬に実施された欧州議会選挙での偽情報に関する報告書を公表した。ロシアから移民や宗教といったテーマで意見の対立をあおったり、投票行動に影響を及ぼすことを狙った偽情報の動きが相次いだと指摘。米フェイスブックやグーグル、ツイッターなどに対しさらなる対策強化を求めている。

10ページから成る報告書によると、ロシア発の偽情報は1月以降に約1,000件確認され、1年前の同じ時期に比べて2倍以上に増えた。主としてソーシャルメディアのアカウントや専用サイトから偽情報を流しており、欧州内の政治団体などがロシアの手法をまねてEUを非難する内容の偽情報を拡散するケースも確認されたという。

欧州委のキング委員(安全同盟担当)は記者会見で「入手した証拠から欧州議会選を標的にした域外からの偽情報によるキャンペーンを特定することはできなかったが、ロシアの発信元による偽情報の動きが相次いだ」と指摘。ロシアの政府系メディアが「フランスのマクロン大統領が複数のEU加盟国の除名を目論んでいる」と報じたケースなどに言及した。また、欧州内の「悪意を持つ活動家」がロシアの手法を模倣した例として、4月に発生したパリのノートルダム大聖堂の火災について「西洋でキリスト教的価値観が低下している表れ」などとツイートし、市民の対立をあおったケースを挙げた。

上部へスクロール