ギリシャ総選挙で最大野党が単独過半数、4年半ぶりの政権交代へ

ギリシャで7日に実施された総選挙で、最大野党の中道右派・新民主主義党(ND)が単独で過半数を確保し、4年半ぶりに政権を奪回した。党首のミツォタキス氏(51)が8日中に新首相に就任する。チプラス首相率いる与党の急進左派連合(SYRIZA)は、財政緊縮からの脱却という公約を実現することができず、国民の支持が離れて大敗し、第2党に転落した。

ギリシャ議会は一院制(定数300)。内務省が発表した投票結果によると、NDは開票率99.86%の時点で39.85%の票を獲得。過半数の158議席を確保した。SYRIZAは同31.53%で、86議席にとどまった。

チプラス政権はギリシャが債務危機から脱け出しつつあった2015年1月、ND政権がEUによる金融支援の条件として進める厳しい財政緊縮策に異を唱え、政権を奪取した。

チプラス首相は当初、前政権がEUと約束した緊縮策を中止した上で財政健全化を進める方針だった。しかし、EUと対立し、債務危機の懸念が再燃。最終的にEUと妥協し、追加の増税や年金削減などの緊縮策を推進することで新たな金融支援を取り付けた。

これによって債務危機は沈静化し、18年8月に金融支援から脱却した。しかし、緊縮維持が公約に反するとして批判を浴び、支持率が低迷。隣国マケドニア(現・北マケドニア)と国名をめぐって対立してきた問題で妥協したことも反発を招き、5月から6月にかけて行われた欧州議会選と地方選で大敗し、チプラス首相が議会を解散し、総選挙を4カ月前倒しで実施することを迫られた。

政権交代は予想通り。チプラス首相は「市民は選択を行った。選挙結果を尊重する」と敗戦の弁を述べた。

新首相となるミツォタキス氏は父親が元首相。このほか家族や親族から元外相、現アテネ市長を輩出した政治家一門の生まれだ。同氏は7日に勝利宣言を行い、公約に沿って減税、雇用改善、規制改革や外国からの投資誘致に取り組む方針を示した。

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