欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2019/8/19

EU情報

欧州経済の先行き不安強まる、独・英がマイナス成長に

この記事の要約

ドイツ連邦統計庁が14日発表した2019年4~6月の国内総生産(GDP)は実質ベースで前期比0.1%減となった。マイナス成長は18年7~9月期以来、3四半期ぶり。前期は0.4%増だったが、米中貿易摩擦の激化などで製造業の […]

ドイツ連邦統計庁が14日発表した2019年4~6月の国内総生産(GDP)は実質ベースで前期比0.1%減となった。マイナス成長は18年7~9月期以来、3四半期ぶり。前期は0.4%増だったが、米中貿易摩擦の激化などで製造業の輸出が低迷し、景気を圧迫した。EUでは英国も6年半ぶりのマイナス成長に転落しており、欧州経済の先行き不安が強まってきた。

ドイツのGDPは前年同期比では0.4%増となったが、伸び率は前期の0.9%を大きく下回り、6年ぶりの低水準にとどまった。

同国経済は輸出に大きく依存していることから、米中貿易摩擦や英国のEU離脱をめぐる混迷などによる世界経済減速の影響が大きい。連邦統計庁によると、同期に個人消費は伸びたが、輸出が落ち込んだほか、建設業も不振でマイナス成長となった。EUの排ガス規制強化で新車販売が低迷していることも響いたもようだ。

ドイツ経済の先行きは暗く、2四半期連続でマイナス成長となり、景気後退入りする恐れが浮上している。財政健全化を重視する政府に対して、財政出動による景気対策を求める圧力が強まりそうだ。

一方、英政府統計局が9日に発表した4~6月期のGDPは前期比0.2%減となり、前期の0.5%増から大きく悪化した。マイナス成長は12年10~12月期以来。世界経済減速のほか、3月末の予定だったEU離脱に備えて企業が在庫を積み増す動きが広がり、前期に高い成長を遂げた反動が出たことが大きかった。

7~9月期は10月末のEU離脱を前に再び在庫投資が拡大し、プラス成長に転じると見込まれているが、「合意なき離脱」に至った場合は経済の混乱が必至で、長期的には景気後退入りの懸念がくすぶっている。

EU統計局ユーロスタットが14日に発表した4~6月期の域内総生産(GDP)の最新統計によると、ユーロ圏のGDPは速報値と同じ前期比0.2%増となり、伸び率は前期の0.4%を下回った。圏内の経済を支えるドイツの不振や、イタリアがゼロ成長にとどまったことなどが反映された。EU28カ国ベースの伸び率も0.2%で、前期の0.5%から縮小した。