ドイツ出身のECB理事が10月末に退任、ドラギ総裁の緩和路線に反発

欧州中央銀行(ECB)は25日、ドイツ出身のラウテンシュレーガー専務理事が10月末に退任すると発表した。理由は明らかにしてされていないが、同氏はドラギ総裁が進める緩和路線に批判的な立場を取っており、政策運営に対する抗議の辞任とみられる。

2014年に専務理事に就任したラウテンシュレーガー氏は、任期を2年余り残して退任することになる。同氏はECBスタッフに宛てた電子メールで、任期途中での退任は遺憾としたうえで、「非常に難しい決断だったが、現状を踏まえると最善の行動」と強調した。

ラウテンシュレーガー氏は8月末のインタビューで、米中貿易摩擦や英国のEU離脱をめぐる先行きの不透明感、ドイツ製造業の不振といった懸念材料はあるものの、欧州経済の力強さを取り戻すための大規模な刺激策を検討するのは「時期尚早」と指摘。特に資産購入プログラムについて、「再開の必要性を感じない」と述べていた。

しかし、ECBは今月12日の政策理事会で、3年半ぶりの政策金利の利下げや、昨年末に終了した量的金融緩和策の再開を決定した。量的緩和についてはドイツ、フランス、オランダ、オーストリアなどの中央銀行総裁が資産購入の再開に反対を表明したが、11月から毎月200億ユーロ規模で国債などの買い取りを実施することが決まった。

ラウテンシュレーガー氏の後任候補としては、ドイツ経済諮問委員会(5賢人委員会)のメンバーでボン大学教授のイザベル・シュナーベル氏や、ドイツ連邦銀行のブッフ副総裁などの名前が挙がっている。なお、ECBではドラギ総裁が10月末に8年間の任期を終えて退任し、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が11日1日付で新総裁に就任する。

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