ギリシャ政府は9日に短期国債の入札を実施し、4億8,750万ユーロを調達した。平均落札利回りはマイナス0.02%。欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和などで需要が増大し、ギリシャ国債で初のマイナス金利となった。
発行したのは3カ月物国債。前回の入札(8月)の約0.1%を下回った。ユーロ圏ではECBが9月に量的金融緩和を11月に再開することを決め、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を拡大したことで、これまでにドイツやイタリア、スペインなどで国債の利回りがマイナスとなっている。債務危機で大きく揺れたギリシャも、景気回復などを受けて国債のリスクが低下し、マイナス利回りの仲間入りをした。
2010年に深刻な債務危機に陥ったギリシャは、同年から12年にかけてEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を取り付け、財政再建に取り組んできた。その結果、危機が沈静化し、18年8月20日に支援が終了。3月に9年ぶりの10年物国債の入札を実施していた。
ユーロ圏で国債の利回りが低下している背景には、世界的に景気の先行き不透明感が高まっていることで株価が低迷していることもある。銀行などが国債をマイナス利回りで購入すると損をするが、株式投資よりリスクが小さい国債を余剰資金の安全な逃避先として、事実上の“手数料”を払ってでも購入する動きが進んでいる。
ギリシャ国債の格付けは、依然として投資不適格級だが、こうした状況を受けて利回りが低下傾向にある。8日に実施した10年物国債の入札では、落札利回りが過去最低の1.5%まで低下した。