ユーロ圏成長率、7~9月期も0.2%

EU統計局ユーロスタットが10月31日に発表した2019年7~9月期の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.2%増となり、前期から横ばいだった。米中貿易摩擦、英国のEU離脱問題で減速が予想されていたが、同水準に踏みとどまった。

前年同期比では1.1%増と、伸び率は前期から0.1ポイント縮小した。EU28カ国ベースのGDPは前期比0.3%増、前年同期比1.4%増。伸び率は前期比が前期を0.1ポイント上回った。前年同期比は横ばいだった。

ユーロスタットは国別のデータを11月14日に公表する予定。これまでにユーロ圏主要国の当局が発表した同期のGDP統計(前期比)によると、フランスは0.3%増。堅調な個人消費に支えられ、前期と同水準の伸びを維持した。ゼロ成長だったイタリアは0.1%増と改善した。スペインは0.4%増だった。

ユーロ圏では最大の経済国であるドイツが米中貿易摩擦の余波で輸出が低迷し、景気が悪化している。同国は14日に7~9月期のGDP統計を発表する予定で、これによってユーロ圏全体のGDPが下方修正される可能性が指摘されている。

欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏で景気減速の懸念が広がり、物価が上がりにくい状況も続いていることから9月の定例政策理事会で追加金融緩和を決定。民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を同月に拡大し、ユーロ圏の国債などを買い入れる量的緩和を11月に再開した。

ユーロスタットが同日に発表した10月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.7%となり、前月の0.8%から0.1ポイント縮小した。縮小は2カ月連続。エネルギー価格の下げ幅が3.2%と、前月の1.8%から急拡大したことが反映された。工業製品は0.3%、サービスは1.6%の上昇だった。ECBが金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は1.1%で、前月を0.1ポイント上回った。

一方、雇用は回復傾向が続いている。同時に発表された9月のユーロ圏の失業率は前月と同じ7.5%で、2008年7月以来の低水準となった。(表参照)

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