欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAは10月31日、経営統合することで合意したと発表した。実現すれば販売台数で世界4位の自動車メーカーが誕生する。プラットフォームの共通化や販売の合理化などを通じてコスト競争力を高め、電気自動車(EV)や自動運転など次世代技術の開発を効率的に進める。
FCAは「フィアット」「クライスラー」「アルファロメオ」など、PSAは「プジョー」「シトロエン」「オペル」などのブランドを展開している。両社を合わせた販売台数は約870万台に上り、独フォルクスワーゲン、日産自動車・仏ルノー・三菱自動車連合、トヨタ自動車に次ぐ規模。2018年12月期決算によると、合計売上高は約1,700億ユーロ、営業利益は約110億ユーロに達する。
FCAとPSAはそれぞれ取締役会を開き、50対50の対等合併を目指す計画を承認した。統合新会社の会長にFCAのジョン・エルカン会長、最高経営責任者(CEO)にカルロス・タバレスCEOが就く。また、取締役会は11人で構成され、PSA側が6人、FCA側が5人を占める。両社は今後数週間のうちに拘束力のある覚書を交わすと説明している。
FCAは電動化や自動運転の開発で出遅れており、PSAとの統合を通じて効率的な投資が可能になる。一方、売り上げの大部分が欧州事業のPSAは、FCAと組むことで北米やアジアでシェア拡大を図ることができる。
次世代技術の開発競争が激しくなる中、とりわけFCAにとってパートナー選びが急務となっていた。同社は5月、仏ルノーに経営統合を提案したが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府が反対して実現しなかった。破談からわずか4カ月でPSAと交渉を重ね、対等合併で合意にこぎつけたことになる。