欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2019/11/18

EU情報

英総選挙で与党・保守党に追い風、地盤で離脱党との競合回避

この記事の要約

英国のEUからの強硬離脱を唱える英極右政党ブレグジット(離脱)党のファラージ党首は11日、来月12日に実施される総選挙で、前回の選挙で与党・保守党が議席を確保した選挙区で候補者を擁立しない方針を発表した。

EUからの完全な離脱を主張するファラージ党首は、ジョンソン首相がEUと合意した新たな離脱協定案を不満とし、今回の総選挙で600選挙区に候補者を立て、保守党と争う姿勢を示していた。

しかし、選挙の接戦が予想される中、離脱支持派の票が保守党とブレグジット党に分散し、EU離脱に慎重な最大野党・労働党や残留派の野党が議席を獲得するのを阻止するため、方針転換を迫られた。

英国のEUからの強硬離脱を唱える英極右政党ブレグジット(離脱)党のファラージ党首は11日、来月12日に実施される総選挙で、前回の選挙で与党・保守党が議席を確保した選挙区で候補者を擁立しない方針を発表した。保守党と離脱支持派の票を奪い合うことで野党が有利となり、反離脱派の政権が発足するのを防ぐ狙いがある。単独過半数奪回を目指す保守党にとっては追い風となる。

ブレグジット党は先の欧州議会選で躍進した新党。現在は英下院(定数650)に議席はない。EUからの完全な離脱を主張するファラージ党首は、ジョンソン首相がEUと合意した新たな離脱協定案を不満とし、今回の総選挙で600選挙区に候補者を立て、保守党と争う姿勢を示していた。

しかし、選挙の接戦が予想される中、離脱支持派の票が保守党とブレグジット党に分散し、EU離脱に慎重な最大野党・労働党や残留派の野党が議席を獲得するのを阻止するため、方針転換を迫られた。前回の選挙で保守党が勝った317選挙区での候補者擁立を見送り、労働党など野党との議席争いに集中する。

保守党にとって、地盤の選挙区でのブレグジット党の候補者の出馬は大きな脅威となっていた。ファラージ党首の決定で、現職議員の選挙戦は有利となる。ただ、野党の地盤では頼みとする離脱支持派の票がブレグジット党にも流れるため、野党を利することになりかねない。

世論調査会社ユーガブが11~12日に実施した最新の支持率調査によると、保守党は42%で、28%の労働党を14ポイントリードしている。EU残留を主張する野党第3党の自由民主党は15%、ブレグジット党は4%となっている。