スウェーデン家具大手イケアの親会社インカ・グループの不動産部門インカ・センターは9日、英資産運用会社シュローダーの不動産ファンドが保有するロンドンのショッピングセンター(SC)を買収したと発表した。イケアは世界の主要都市で複合型商業施設に入居するタイプの都市型店舗を展開する計画を打ち出しており、インカは同戦略に基づく最初のプロジェクトとして英SC市場に本格参入する。
インカが取得したのは、ロンドン西部のハマースミスにある敷地面積2万7,000平方メートルの「キングスモール」。取引額は公表されていないが、改修費などを含めた投資額は約1億7,000万ポンド(約243億9,000万円)に達する見通しという。インカは多目的商業施設として同モールの再開発を進め、2021年春をめどにイケアストアをオープンさせる計画。店舗以外の用途についてはオフィス、住居、娯楽施設、レストラン、バーなどを選択肢として挙げているが、地元住民らと協議して最終的な方針を決めると説明している。
インカは消費者の生活様式や購買習慣の変化に対応するため、従来からの郊外にある巨大な倉庫型の店舗ではなく、都心の複合商業施設内にイケアの小型店舗をオープンさせる方針を掲げている。すでにパリやモスクワなどでは都市型店舗を運営しているが、いずれもテナントとして入居しており、商業施設自体を保有するケースはロンドンが初となる。