欧州委員会のホーガン委員(通商担当)は16日、米中両国が15日に署名した貿易協議を巡る第1段階の合意について、国際ルールに違反していないか精査する考えを示した。同委員は米中間の合意には「管理貿易的な側面がある」との認識を示し、EUの利益が損なわれる場合は必要な対抗措置を講じると表明した。
ホーガン氏は訪問先のワシントンで記者団の取材に応じた。同氏は米中合意の内容を詳しく分析していないと説明したうえで、中国側が米製品の輸入を2年で2,000億ドル増やすことで合意した点について、「米中は直接取引を行っており、世界貿易機関(WTO)ルールに準拠しているか精査する必要がある」と指摘。第1段階の合意は自由貿易に基づくものではなく、管理貿易的なものだとの認識を示したうえで、「WTOにむやみに提訴するつもりはないが、問題があれば必要な対応を取る」と明言した。
ホーガン氏はこのほか、EUと米国はWTOを舞台にした航空機補助金を巡る紛争を早急に解決する必要があると指摘。米中合意には中国が米ボーイング機を購入することも含まれるとの見方がある点を踏まえ、エアバスを擁するEUとして「自らの経済的利益を擁護する」と述べた。