欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は17日、中国で電気自動車(EV)の開発や製造を手がける合弁会社の設立に向け、台湾の鴻海精密工業と交渉していると発表した。FCAはこれまでスマートフォンの受託生産を中核事業としてきた鴻海と組み、長期的に成長が見込まれる中国EV市場への本格参入を目指す。
鴻海側は16日に合弁会社の設立計画を発表していた。鴻海が証券取引所に提出した文書によると、同社とその子会社が合弁会社の株式50%を握り、残り50%をFCAが保有する。FCAは17日の声明で「最終的な合意に至る保証はない」としたうえで、2~3カ月以内に拘束力のある合意を目指す方針を示した。
FCAによると、合弁会社では次世代EVのほか、インターネットによる通信機能を備えたコネクテッドカーの開発・生産も手掛ける計画。スマホやサーバなどの製造で蓄積した鴻海の技術を活かし、「つながるクルマ」の生産を目指す。当面は中国市場に集中するものの、将来的には輸出も検討するという。
FCAは2019年12月に仏グループPSAとの経営統合で合意。プラットフォームの共通化や販売の合理化などを通じてコスト競争力を高め、EVや自動運転など次世代技術の開発を効率的に進める方針を示していた。FCA-PSA連合は販売台数で世界4位の自動車メーカーに浮上するが、両社は中国を含むアジア市場で大きく出遅れている。統合完了後は鴻海との合弁事業を軸に、中国EV市場でシェア拡大を図るものとみられる。