アイルランドでシン・フェイン党が第2党に躍進、連立協議が焦点に

アイルランドで8日、下院総選挙(定数160人)が実施され、英領北アイルランドを含めた南北アイルランドの統一を公約に掲げるシン・フェイン党が37議席を獲得し、第1党となった最大野党・共和党と1議席差で第2党に躍進した。バラッカー首相率いる与党・統一アイルランド党は35議席にとどまり、第3党に転落した。いずれの政党も単独過半数には届かず、今後は新政権樹立に向けた連立協議に焦点が移る。

アイルランドでは長年にわたり、いずれも中道右派の統一アイルランド党と共和党を中心とした政権交代が続いてきたが、今回は2大政党が2016年の前回選挙からそれぞれ15議席、6議席減らす波乱の結果となった。こうした中、住宅建設への大規模な公共投資などを公約に掲げるシン・フェイン党が政権与党の統一アイルランド党と同党に閣外協力する共和党に対する国民の不満を取り込み、得票率で首位に立った。総選挙は比例代表制で、同党は立候補者数が少ないため議席数は2位となったが、前回選挙から14議席増やした。

総選挙は少数与党政権のバラッカー首相が1月に解散を宣言して実施された。連立協議では、かつて北アイルランド紛争で武装闘争を展開したアイルランド共和軍(IRA)の政治部門を前身とするシン・フェイン党の動向に注目が集まる。同党のマクドナルド党首は12日、「総選挙に勝利した」と表明。少数派政党や無所議員と連携して政権樹立を目指す考えを示した。ただ、党内からも実現は難しいとの見方が出ている。

一方、第1党となった共和党のマーティン党首は13日、公共放送RTEとのインタビューで、「シン・フェイン党との関係で共和党の優位性を過小評価すべきではない」と強調。シン・フェイン党との連立を模索する考えはないと述べた。これにより、共和党と統一アイルランド党が連立交渉に入る可能性が高まったが、協議が暗礁に乗り上げた場合は再び総選挙が実施される可能性もある。

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