オランダの金融大手ABNアムロは26日、米国の顧客による金融取引の失敗で大規模な損失が生じたと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて金融市場で不安定な動きが続く中、顧客がデリバティブ(金融派生商品)取引で損失を出した。2020年1~3月期に約2億ドル(約215億円)の純損失を計上する。
損失を被ったのは、取引仲介・決済サービスを提供する傘下のABNアムロ・クリアリング。顧客は米国で先物とオプション取引を手がけていたが、新型コロナの感染拡大を受けた米市場の「極端なストレス」の下で持ち高が悪化し、証拠金規制の要件を満たすことができなかった。ABNアムロは事態の悪化を防ぐため、同顧客が保有するポジションを強制的に決済して損失を負担した。
新型コロナの影響で欧州の主要行が大規模な損失を出したのは今回が初めて。トレーディング業務は欧州の投資銀行にとって貴重な収益源となっているが、ABNアムロは金融市場が混乱する中、取引量と変動率が前例のない水準に達し、これが顧客の取引失敗につながったと説明している。