ソフトバンクグループ(SBG)が出資する英衛星通信企業ワンウェブは27日、ニューヨーク州の破産裁判所に米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。世界規模で高速インターネット通信網を構築する計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場の混乱などで資金調達が困難になり、資金繰り難に陥った。ワンウェブは会社更生手続きを進めながら事業売却を目指す方針で、DIPファイナンス(事業再生融資)の確保に向け協議中と説明している。
ワンウェブは2012年創業。650基以上の衛星を活用し、地球上のどこでも高速インターネットを利用できるサービスの提供を目指していた。2019年2月に試験機6基の打ち上げに成功。今年2月と3月にそれぞれ34基を打ち上げ、計74基を軌道に乗せた。20年末までに北極圏を対象にサービスを開始し、21年には対象エリアを世界各地に拡大する計画だった。
ワンウェブの提出書類によると、同社はこれまでにSBGや欧州航空機大手エアバス、米半導体大手クアルコムなどから約33億ドルを調達している。SBGは約20億ドルを出資する筆頭株主。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ワンウェブはSBGに対して新たに20億ドルの出資を打診していたが、協議がまとまらなかったという。