仏自動車大手ルノーは14日、中国の東風汽車集団と湖北省武漢で展開してきた合弁事業から撤退すると発表した。販売低迷を受けたもので、折半出資する合弁会社の株式を東風汽車に譲渡する。今後は中国で電気自動車(EV)と商用車の生産に集中する。
ルノーと東風汽車は2013年、武漢に合弁会社「東風雷諾汽車有限公司(DRAC)」を設立。同社の工場はルノーにとって中国の主要生産拠点で、ガソリン車を中心に生産してきた。武漢は新型コロナウイルスの発生地で、DRACも工場の一時閉鎖を迫られたが、その前から販売が低迷しており、19年の販売台数は同工場の年産能力(11万台)を大きく下回る1万8,607台にとどまり、15億元(約230億円)の営業赤字を出した。
ルノーは新型コロナの影響で中国自動車市場の先行き不透明感が広がっていることもあって、合弁事業からの撤退を決めた。これによりDRACはルノー車の生産を打ち切る。株式50%をいくらで東風汽車に売却するかは明らかにしていない。
ルノーは中国で、東風汽車と日産自動車と設立した合弁会社「eGTニュー・エナジー・オートモーティブ」と、江鈴汽車集団(JMCG)との合弁会社を通じたEV生産と、華晨中国汽車との合弁会社での軽商用車生産に絞って事業を継続する。