英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は4月29日、新型コロナウイルスのワクチンについて、量産化は2021年後半になるとの見通しを明らかにした。新型コロナの感染拡大が続く中、世界各国で70を超えるワクチン開発のプロジェクトが進行中。GSKは仏サノフィなどと共同でワクチンや治療薬の開発を進めている。
GSKのエマ・ウォルムズリー最高経営責任者(CEO)はワクチン開発の進捗について「順調に行けば、来年後半に数億回分のワクチンを製造する体制が整う」との見方を示したうえで、そのためには治験で早期にワクチン候補の安全性や有効性を確かめる必要があると強調。「条件が整えば多くの国の当局から承認を得られるだろうが、18カ月は野心的な達成目標といえる」と述べた。
GSKは4月14日、新型コロナのワクチン開発でサノフィと提携したと発表した。サノフィがワクチン候補の試験を実施し、GSKはアジュバント(免疫反応を高めるためワクチンと一緒に投与される物質)を提供する計画で、20年下半期の治験開始を予定している。
またGSKは4月初め、感染症治療薬開発の米VIRバイオテクノロジーに2億5,000万ドルを出資し、新型コロナ治療薬の開発で協力すると発表した。このほか2月には中国に拠点を置くバイオテクノロジー企業のクローバー・バイオファーマシューティカルズと新型コロナワクチンの研究協力で合意。さらに英アストラゼネカやケンブリッジ大学と連携し、英政府が進める新型コロナの検査体制を強化するための取り組みにも協力している。