ヴァージン航空が3150人解雇へ、新型コロナでリストラ断行

英ヴァージン・アトランティック航空は5日、全従業員の約3割にあたる3,150人を解雇すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大幅な運航縮小が続く中、事業を継続するには大規模なリストラでコスト削減を図る必要があると判断した。

ヴァージンはまた、ロンドン郊外にあるガトウィック空港での発着を停止し、当面の間ヒースロー空港に集約する計画も明らかにした。ただし、新型コロナ収束後の需要回復に備え、ガトウィックの発着枠は維持する方針を示している。

シャイ・ワイス最高経営責任者(CEO)は「当社は36年前の初飛行以来、多くの困難を乗り越えてきたが、今回の新型コロナほど厳しい状況はなかった。今はコストを削減して現金を確保し、可能な限り雇用を守るために一段の行動が必要な時だ」と強調。「需要に応じて合理化を進め、2021年に黒字回復することが極めて重要だ」と述べた。

ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン会長は4月20日、ヴァージン・アトランティックの存続に向けて英政府に支援を要請したことを明らかにした。地元メディアによると、ヴァージン側は5億ポンド(約670億円)の融資を求めたとされるが、現時点で実現していない。一方、ヴァージン・グループが10%出資するヴァージン・オーストラリアは4月21日、豪政府に要請していた14億豪ドル(約950億円)の支援を拒否され、経営破綻した。

ヴァージンは5日の声明で「英政府を含む利害関係者と建設的な協議を行っている。事業継続のための資金確保に向け、引き続きあらゆる選択肢について検討する」と表明した。

新型コロナ感染拡大の影響で、欧州の航空業界では大手が相次いでリストラ策を打ち出している。英航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は4月28日、傘下のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)で全パイロットの約4分の1にあたる1,130人を含め、最大1万2,000人の削減を検討していると発表。アイルランドに本拠を置く欧州格安航空会社(LCC)最大手ライアンエアーも今月1日、全従業員の15%にあたる最大3,000人の削減計画を発表した。さらにスカンジナビア航空や独ルフトハンザ航空なども人員削減に踏み切るとの報道がある。

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