欧州委員会は15日、EU域内の円滑な移動を支援するため、交通機関や観光施設、各国で導入されている新型コロナウイルスの感染防止策などに関する情報をまとめて提供する専用サイト「Re-open EU」を立ち上げた。夏のバカンスシーズンを控えて旅行者が常に最新情報にアクセスできる態勢を整え、コロナ禍で深刻な打撃を受けている観光業の立て直しを図る。
情報サイトの開設は、EU加盟国の大半が同日付で、3月から実施していた域内の国境管理を解除したのに合わせた措置。鉄道やバスなどの運行状況やツアー情報、入国時の検査、交通機関や店舗などでのマスク着用義務をはじめとする公衆衛生上の施策など、約30項目の情報を網羅している。EU27カ国の情報を24の言語で提供しているが、現在のところ英国とシェンゲン協定に参加する非EU4カ国(ノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン)は対象外。
欧州委のブレトン委員(域内市場担当)は「ようやくEU域内の国境が開放され、自由な移動が可能になる。本日立ち上げた情報サイトを通じ、旅行者は安心してEUへの旅を計画し、滞在中は安全に過ごすことができる」と強調した。
フランスは15日から、原則としてEU域内のすべての国からの入国を認め、ドイツも16日から隣接する国からの受け入れを開始した。イタリアなどはすでに国境を開放しており、6月中に欧州のほぼ全域で移動制限が撤廃される見通し。7月1日以降は域外からEUへの入域制限も段階的に緩和されることになっており、欧州委員会が受け入れ可能な国・地域のリスト作りを進めている。