FCAとPSAの統合めぐり本格的調査、小型商用車市場の寡占を懸念=欧州委

欧州委員会は17日、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAの経営統合計画について、競争法上の本格的な調査を開始すると発表した。欧州の小型商用車市場を寡占する懸念が浮上しているためで、改めて詳細な調査を実施して統合承認の可否を最終判断する。

両社は2019年12月、経営統合することで正式合意した。誕生する新会社は独フォルクスワーゲン、日産・仏ルノー・三菱自連合、トヨタに次ぐ世界4位の自動車グループとなり、自動車業界の勢力図を塗り替える。

統合計画は米国、日本、中国、ロシアの独禁当局が承認済みだ。しかし、欧州では両社の事業が大きく重複することから、EUが厳しく審査し、承認まで時間がかかるのは必至と目されていた。

FCAとPSAは欧州の小型商用車市場で合わせて約3割のシェアを持っており、統合が実現するとライバルのルノー、フォードを大きく引き離して圧倒的な首位に立つ。欧州委は両社が欧州の同市場で競合関係にあり、統合によって競争が大きく阻害される恐れがあると判断。初期調査の段階で両社に是正策を提示するよう求めたが、応じなかったことから承認を見送り、本格的な調査を実施することを決めた。10月22日までに結論を出す。

欧州委は両社の統合によって、とくにフランス、イタリア、スペイン、英国など欧州15カ国の小型商用車市場での競争に大きな影響が及ぶと懸念している。ネット通販の普及で宅配が増え、小型商用車の重要性が増していることも考慮し、慎重に統合の可否を判断する。

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