英政府は17日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を目指す方針を改めて表明した。EU離脱後の新たな通商戦略の柱と位置づけ、日本やオーストラリアなど参加国との協議を本格化させる。TPP加盟を通じて貿易や投資を促進し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で深刻な打撃を受けた経済の立て直しを図る。
英国にとってEUとの貿易が全体の約半分を占めており、同国はEU離脱に伴い、米国や日本など重要な貿易相手との間で早期に通商協定を締結することを最優先課題に掲げている。日本とは今月9日、日本とEUが結んだ経済連携協定(EPA)を土台に新たな貿易協定の交渉を開始。英側は日本との新協定をちTPP加盟の足がかりにしたい考えを示していた。
トラス国際貿易相はTPP加盟の目的について、「貿易相手と供給網を多様化することで英国経済に活力をもたらすことができる」と強調した。
また、英政府は同日、オーストラリアおよびニュージーランドとそれぞれ自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始すると表明した。今後数週間以内にビデオ会議型式で初回協議が行われる見通しだ。
英側は両国との間で新たな協定が締結されると、英国からの輸出が最大10億ポンド拡大すると試算している。トラス氏は「TPP加盟に向けて重要な一歩になる。オーストラリアやニュージーランドといった友好国との間で野心的で多岐にわたる協定を締結することは、EU離脱時の公約を果たすうえで強力な手段となる」と述べた。