仏製薬大手サノフィは16日、6億1,000万ユーロを投じて国内に新たなワクチン工場と研究開発施設を開設すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、国内でのワクチン開発、生産を拡充する。
サノフィは世界3位のワクチンメーカー。12工場を展開している。うち3工場は国内にある。同社は中部リヨンの近郊に新工場を建設する。投資額は4億9,000万ユーロ。既存の工場では1度に1種類のワクチンしか生産できないが、新工場は4種類に対応できるという。このほか1億2,000万ユーロを投じてワクチンの研究開発センターを開設する。
同社は現在、新型コロナウイルス用の2種のワクチンの開発を進めている。5月にはポール・ハドソン最高経営責任者(CEO)が5月13日、ワクチンの供給先として米国を優先する意向を表明し、大きな波紋を広げた経緯がある。
工場などの新設は、仏マクロン大統領の施設訪問に合わせて発表された。ハドソンCEOは声明で、「今回の投資によってフランスはワクチン開発、製造の世界的な拠点になる」と述べ、意義を強調した。