米フェイスブックは7月27日、欧州委員会が進めている同社に対する2件の競争法上の調査に関して、従業員の個人データを含む「例外的に広範な」情報提供を求められたとして、欧州司法裁判所に提訴したことを明らかにした。これまでに提出した大量の文書には、機密性の高い従業員の個人情報などが含まれていると主張し、欧州裁に対して欧州委の要求が妥当なものか検証するよう求めている。
欧州委は昨年からフェイスブックに対し、個人情報の取り扱いに関する調査と、同社が2016年に開始した個人間取引サービス「マーケットプレイス」の運用実態に関する調査を進めている。調査の詳細は明らかにされていないが、欧州委はいずれのケースでもフェイスブックが大量のデータを利用して不当に競争上の優位性を獲得しているとの疑いを抱いている。
フェイスブックは欧州委の求めに応じ、これまでに約170万ページに相当する31万5,000件の文書を提出した。同社の次席法務責任者ティム・ラム氏は声明で、この中には従業員の医療情報や財務情報、家族構成など、「調査とは関係のない、極めて機密性の高い個人情報」が多く含まれていると指摘。「欧州委のこうした要求が妥当か、司法裁によって検証される必要があると判断した」と述べた。
ロイター通信が関係者の話として報じたところによると、欧州委は「大きな懸念」「閉鎖」「われわれにとって有害」といった約2,500の検索フレーズが提出文書に記載されていないか集中的に調べているもよう。こうした語句は従業員の健康情報や業績評価、応募書類など、調査とは関係のない文書にも含まれている可能性があるという。