産業用ソフトの英アヴィバ、ソフトバンク出資の米社を買収

英産業用ソフトウエア大手アヴィバ・グループは25日、ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドなどが出資する同業の米OSIソフトを50億ドルで買収すると発表した。世界各地で導入されているリアルタイムデータ管理ソフト「PI システム」をはじめとするOSIソフトの情報基盤技術を取り込み、IoTやクラウドなどの分野で事業拡大を図る。

OSIソフトは1980年創業で、カリフォルニア州サンレアンドロに本社を置く。同社が開発したPI システムは電力や石油・化学、製造業などを中心に、127カ国の1万9,000を超えるプラントや工場に導入されており、産業用機器などからセンサーデータを収集し、施設の運用を可視化するプラットフォームとして活用されている。

OSIソフトにはソフトバンクと三井物産がそれぞれ44.7%、5.0%出資しており、OSIソフトの創業者で最高経営責任者(CEO)のパトリック・ケネディー氏率いるエストゥディオ・ホールディングスが残り50.3%を保有している。ロイター通信によると、アヴィバはソフトバンク傘下のビジョン・ファンドが保有するOSIソフトの全株式を20億ドル超で取得することで合意した。一方、三井物産は25日、OSIソフト株を260億円(約2億5,000万ドル)で売却すると発表した。

アヴィバは新株予約権無償割当(株主割当増資の一種)を実施して35億ドルを調達するほか、筆頭株主であるエストゥディオへの第三者割当増資や新規の借り入れなどで買収資金を賄う。競争当局の認可を経て年内の取引完了が見込まれる。

アヴィバのレイグ・ヘイマン最高経営責任者(CEO)は声明で「OSIソフトは産業用ソフトの分野で最も重要なプレーヤーの1つだ。買収により、産業界のデジタル化において統合新会社がより大きな役割を担うことになる」と強調した。

上部へスクロール