財政規律の適用停止、当面は継続=ユーロ圏財務相会合

ユーロ圏19カ国は11日に開いた非公式財務相会合で、新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機に対応するため、EU加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止する措置を当面は継続することを確認した。コロナ禍収束のめどが立たない中、財政引き締めに転じるのは時期尚早と判断した。

EUの財政規律を定めた安定成長協定は、各国に毎年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付けている。しかし、欧州委員会は景気悪化で税収の大幅な落ち込みが予想される中、同ルールに縛られていれば各国が新型コロナ危機に十分に対応できないとして、3月に財政規律の適用停止を加盟国に勧告。同月下旬に承認された。これによって各国は赤字を気にせず、コロナ対策に財政出動できるようになっている。

ユーロ圏の財務相は2月以来となる対面方式での会合をベルリンで開き、経済の現状を中心に意見を交換した。7月に同財務相会合の新議長に就任したアイルランドのドナフー財務相は会合後の記者会見で、景気の見通しが依然として不透明なことなどに触れ、現行の政策を打ち切ることはできないと指摘。景気を下支えするため、財政規律の適用再開を当面は見送る必要があると述べた。

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