英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは9月30日、2022年末までに全従業員の10%強に相当する最大9,000人の削減を計画していると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で化石燃料の需要が落ち込む中、大規模な人員削減で合理化を進め、低炭素エネルギー分野に経営資源を集中させる。
ベン・ファンブールデン最高経営責任者(CEO)は声明で「よりシンプルで合理化された、競争力のある組織にならなければならない」と強調。「苦渋の決断だが、人員削減による合理化が不可欠だ」と述べ、自主退職を申し出た1,500人を含め、22年末までに7,000~9,000人を削減する方針を明らかにした。同年までに最大で年間25億ドルの経費削減が可能との見方を示している。
世界の石油需要が「コロナ前」の水準に戻るのは早くて22年以降とされる中、主要エネルギー企業は化石燃料への依存度を低減し、再生可能エネルギーなど低炭素分野に軸足を移す動きを加速させている。シェルは50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの目標を掲げており、15年ほど前には55カ所にあった製油所を10カ所未満まで減らす方針を打ち出した。
シェルは来年2月にカーボンニュートラルの実現に向けた詳しい事業戦略を発表する方針。ファンブールデン氏は50年までにシェルの事業分野は「現在とは大きく異なるものになる」と強調。引き続き多少の石油や天然ガスは取り扱うものの、「低炭素電力やバイオ燃料、水素などが大半を占めるようになる」と述べた。