EUは域内の雇用維持プログラムの財源を確保するため20日に実施した起債で、予定通り170億ユーロを調達した。EUの高い信用力を背景に、応募は発行枠の約14倍に相当する2,330億ユーロに上り、EUによる1回の起債での応募額としては過去最高となった。
EUは4月、新型コロナウイルスの感染拡大が域内経済に及ぼす影響を最小限に抑えるため、総額5,400億ユーロ規模の経済対策を実施することを決定。その一部として、「失業リスク緩和のための緊急支援(SURE)」と呼ばれるプログラムが6月から実施されている。
SUREはEUが1,000億ユーロの基金を設立し、加盟国に融資することで、雇用を守る企業に手厚い助成を行えるようにするというもの。資金は債券発行で調達することになっている。今回の起債は第1弾。償還期間が10年、20年の長期債を発行した。
応募が殺到したのは、EUが大手格付け会社から最高格付けを与えられていることに加え、利回りがドイツの長期国債を上回る水準に設定されたことが大きい。SUREでは年内に300億ユーロを起債で調達する予定だが、早くも半分以上を確保した格好となる。
EUはコロナ禍で大きな打撃を受けたEU経済の復興に向けた7,500億ユーロの基金を創設することが決まっており、その財源も起債で確保することになっている。SUREの起債が好調なスタートを切ったことは、明るい材料となる。