ファイザー連合ワクチン、EUで27日に接種開始へ

EUの欧州医薬品庁(EMA)は15日、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品会社ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンを承認するかどうかを21日に判断すると発表した。当初は医薬品委員会(CHMP)が29日に会議を開き、審査する予定だったが、前倒しで承認手続きを進める。承認されるのは確実で、欧州員会のフォンデアライエン委員長は17日、EUで27日に同ワクチンの接種が開始されるとの見通しを示した。

EMAはファイザー連合に要求していた追加データが14日に届いたことから、審査の前倒しが可能になったと説明している。

EUの医薬品承認は、EMAが審査して勧告し、欧州委員会が最終決定するシステムとなっている。EMAによると、CHMPが21日に承認を勧告すれば、欧州委が「数日中」に正式承認する見込み。EU筋がロイター通信に明らかにしたところによると、23日に承認される予定だ。

フォンデアライエン委員長はツイッターへの投稿で、EUでは27日に接種が開始され、29日には全加盟国で接種が始まるとの見通しを示した。17日時点でドイツ、イタリア、オーストリアが27日に接種を開始する方針を打ち出している。

EMAは1日、ファイザー連合と米モデルナから、新型コロナワクチンの承認申請を受けたと発表。ファイザー連合のワクチンは29日、モデルナのワクチンは1月12日に承認の可否を判断する方針を示していた。

ファイザー連合のワクチンは英国、米国、カナダなどで承認済み。19日にはスイスで承認された。新型コロナ感染再拡大に直面するEUでは、ドイツなどがEMAの審査が遅いと不満を示しており、10~11日のEU首脳会議では早期承認を求める声が相次いでいた。

EUはファイザー連合から最大3億回分のワクチンを調達する契約を結んでいる。加盟国は人口に応じた配分を受ける。

一方、EMAは17日、モデルナのワクチンについても承認手続きを前倒しし、1月6日に可否を判断すると発表した。

EUはファイザー連合、モデルナのほか、英アストラゼネカ、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)の連合、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のヤンセンファーマ、独キュアバックと新型コロナワクチン調達で正式契約している。欧州委員会は17日、米バイオ医薬品会社ノババックスと最大2億回分のワクチン調達に向けた予備的交渉を終えたと発表した。

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