英政府、TPP参加を正式に申請

英政府は1日、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。離脱したEUと自由貿易協定(FTA)で合意したものの、通関手続き復活など貿易への悪影響が避けられない中、離脱によって得た自由を生かしてTPP交渉を進め、アジア太平洋諸国との貿易拡大を図る。

TPPには日本、カナダ、メキシコ、ベトナム、シンガポールなど11カ国が参加している。発足時のメンバー以外の国による参加申請は初めて。年内に交渉が開始される見通しだ。

英国はTPP参加によって自動車、ウイスキーなどの輸出関税が下がることを期待している。米国との自由貿易協定締結に向けた交渉の難航が予想される中、同国が政権交代でTPPに復帰すれば対米貿易を拡大できるとの思惑もある。

TPP参加はジョンソン政権がEU離脱後の新たな通商戦略の柱と位置づけ、意欲を示してきたものだが、英経済にどれだけの恩恵をもたらすかについては疑問視する向きも多い。英国の2019年の輸出に占めるTPP参加11カ国の割合は8%程度にすぎない。EUには遠く及ばず、ドイツだけでカバーできる水準だ。また、TPP主要国の日本、カナダ、シンガポールなどとは個別の貿易協定を締結済みで、TPPの枠組みに入る効果は薄い。米国がTPPに復帰しない可能性もある。

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