英が豪とFTA締結で合意、TPP参加に弾み

英政府は15日、オーストラリアとの自由貿易協定(FTA)で合意したと発表した。英国のEU離脱時点で豪州とEUはFTAを結んでいなかったため、英国にとってゼロから交渉を開始して合意に達した初の貿易協定となる。近日中に大筋合意の詳細が発表される見通し。両国はそれぞれ国内手続きを経て、早期の発効を目指す。

英政府によると、2020年の英豪間の貿易額は約139億ポンド(約2兆1,550億円)。英側は自動車やウイスキーなどの輸出拡大を見込んでおり、長期的に国内総生産(GDP)を5億ポンド程度押し上げる可能性があるとみている。

英豪FTAを巡っては、生産コストが低い豪州産の肉類や農産品が大量に輸入されると英国産品の競争力が損なわれるとして、英畜産業界などが強い懸念を示していた。両国は最終的に、豪州産の牛肉や羊肉、乳製品などに対し、関税撤廃までの10年間の移行期間は無関税の輸入に上限を設け、さらにその後5年間はセーフガードを導入して上限超過分に関税を適用することで合意した。

英政府は2022年末までに貿易総額の80%をFTAでカバーするとの目標を掲げている。特にインド太平洋地域を重視する姿勢を打ち出しており、今月初めには環太平洋連携協定(TPP)の加盟交渉入りが決定した。英国はこれまでに日本やカナダなどとの2国間FTAで合意しており、同じくTPP主要国である豪州との協定締結にめどがついたことで、TPP加盟に向けて大きく前進した。

ジョンソン英首相は今回の合意について「歴史と価値観を共有する英豪関係の新たな夜明けだ」とコメント。モリソン豪首相は「英国のTPP加盟への道筋がついた。(英国の加盟で)TPPはより強固になる」と強調した。

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