HSBC、仏リテール事業を売却

英金融大手HSBCホールディングスは18日、仏リテール事業を米投資会社サーベラスの子会社に売却することで合意したと発表した。不振の事業を手放し、収益力が高い事業に集中する戦略に沿ったもので、売却額は1ユーロ。これによって約30億ドルの損失が生じる。

同事業を買収するのは、サーベラス傘下の仏消費者金融会社マイ・マネー・グループ。244支店と約3,900人の従業員、約80万人の顧客を引き継ぐ。2023年の取引完了を見込んでいる。

HSBCの仏リテール事業は不振が続いており、20年12月期は2億8,800万ユーロの赤字だった。19年から売却に乗り出していたが、買い手は同事業の再建に多額の投資が必要となることから協議が難航。最終的に無償でマイ・マネーに手放し、多額の損失を出すことになった。

マイ・マネーはHSBCが2000年に111億ユーロで買収したものの、その後に切り売りし、残った事業を仏リテール部門に統合していた仏中堅銀行クレディ・コマーシャル・ド・フランス(CCF)のブランドを復活させ、収益拡大を図る。

HSBCは経営資源を収益力が高いアジア事業などに集中する戦略を進めており、5月に米国のリテール、小規模法人向け事業から撤退すると発表していた。仏リテール事業の売却によって、同戦略に基づく事業整理が完了する。

上部へスクロール