国際送金サービスの英ワイズ(旧トランスファーワイズ)は17日、ロンドン証券取引所に上場する計画を発表した。上場時に新たな資金調達をしない直接上場(ダイレクトリスティング)を採用する。ロイター通信によると、上場日は7月5日になる見通し。ワイズは時価総額についてコメントを控えたが、複数の関係筋は4月時点で60~70億ドル(約6,600~7,700億円)程度との見方を示していた。
ワイズは2011年にサービスを開始した英有数のフィンテック企業。利用者が銀行振替やデビットカードを使ってワイズのアカウントに送金すると、別の通貨で相手の銀行口座に送金される仕組みで、一般的な銀行のネットワークより少ない手数料で国際送金を可能にしている。
ワイズは世界で約1,000万人の利用者を擁し、56の通貨に対応するマルチカレンシー口座などを武器に急成長を遂げている。同社は17年に黒字転換して以降、年54%のペースで収益が拡大しており、21年3月期は売上高が前年比40%増の4億2,100万ポンド、送金取扱高は30%増の544億ポンドに達した。
米国ではこれまでに音楽ストリーミングサービスのスポティファイや、ビジネスチャットツールのスラックなどが直接上場を採用しているが、ロンドン証取ではワイズが初のケースとなる。直接上場は新株募集などの手続きがないため銀行のサポートを必要とせず、通常の新規株式公開(IPO)よりコストや時間を節約できる。