アルバニア中央銀行は15日、6月末に導入する新紙幣2種を公表した。2019年から22年までの予定で進めている新紙幣発行の一環で、1,000レク札を新デザインに刷新するほか、新たに1万レク札(1万800円強、約80ユーロ)を発行する。これにより、貨幣の最高額面が従来の5,000レクから1万レクに変わる。
ゲント・セイコ総裁によると、1万レク札の導入は現金需要の拡大に対応するものだ。最高額面を引き上げることで、製造・保管・輸送コストが縮小し、中銀の現金管理・発行業務が容易になるとみている。
アルバニアのインフレ率は2011年11月以来、中銀目標の3%を下回っているが、常にプラスで推移している。一方で、決済手段は現金が主で、電子決済など新しい方法がまだ十分に浸透していない。これが高額紙幣の需要を生んだようだ。
1万レク札は、国旗、国歌の歌詞および国歌を作詞したアレクサンダー・スタルヴェ・デノヴァ(通称:アスドレーニ)の肖像がデザインされている。他の新紙幣と同様、ポリマーを材料とし、最新の偽造防止技術で安全性を高めたという。
アルバニア中銀は2016年に貨幣刷新を決定。19年9月に200レク札と5,000レク札の流通を開始した。年内に2,000レク札を、来年に500レク札を発行し、貨幣刷新を完了する。
アルバニア通貨流通高は昨年520億レク増え、前年の増加額の3倍に上った。今年も1~5月の5カ月で100億レク増えている。(1ALL=0.008ユーロ)