英国の新興フィンテック企業で、インターネットを通じた国際送金サービスを手がけるワイズ(旧トランスファーワイズ)が7日、ロンドン証券取引所(LSE)に上場した。初日は初値を10%上回る8.8ポンドで引け、時価総額は約87億5,000万ポンド(1兆3,300億円)に達した。LSE上場のテクノロジー系企業としては最高額となる。
ワイズは2011年にサービスを開始した英有数のフィンテック企業。新規株式公開(IPO)を伴わない直接上場(ダイレクトリスティング)方式で新規上場した。
通常は上場時にIPOを実施して資金を調達するが、同社は新興企業でありながら黒字化しており、十分な資金があることから、新株募集などの手続きが不要で、コストがかさまない直接上場を選んだ。
テクノロジー系企業の直接上場は、米国で音楽ストリーミングサービスのスポティファイ、ビジネスチャットツールのスラックなどが実施した例があるが、LSEではワイズが初めて。LSEでは料理宅配サービス大手のデリバルーが3月末にIPOを実施したが、初日の大幅安となった。ワイズはデリバルーと異なり、上場前から黒字となっていることなどから投資家の信頼を得て、順調な上場デビューとなった。同社の成功を受けて、新興テクノロジー系企業の直接上場が相次ぐとの見方が出ている。