ステランティス、ロシア工場から商用バンを欧州に出荷

欧州自動車大手ステランティスは25日、ロシアのカルーガ工場で生産した商用バンの欧州向け輸出を開始すると発表した。宅配業界がコロナ禍を追い風に成長する中、欧州で拡大する商用車需要に対応する。2月からプジョー「エキスパート」、オペル「ヴィヴァロ」、シトロエン「ジャンピー」の中型バン3モデルを出荷する。

ステランティスは同日、カルーガ工場の昨年の生産台数が2020年から倍増したことを明らかにした。同工場の年産能力は12万5,000台。同社は生産をさらに増強する方針で、今年末にフィアットの商用車「スクード」をはじめ、ディーゼルエンジン、マニュアル車向けトランスミッション、ステランティスブランドの小型バンの生産開始を予定している。

三菱自動車との合弁で運営するカルーガ工場は、2017年から旧PSAグループ向けにバンの生産を行っていた。現在、三菱自動車のSUV「アウトランダー」や「パジェロ」も生産している。

モスクワの南西180キロメートルに位置するカルーガにはロシアの自動車産業が集積している。独フォルクスワーゲン(VW)とスウェーデンのボルボ・トラックが2007年に工場を開設したほか、自動車部品メーカーの独コンチネンタル、米ビステオン、加マグナ・インターナショナルなどが進出している。

米国政府は現在、ロシアのウクライナ侵攻を阻止するため同国に対する制裁措置を導入する構えを見せており、今後ロシアでの自動車生産に必要な電子部品などの供給に支障をきたす可能性もある。

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