2010/2/17

コーヒーブレイク

バンクーバー五輪でグルジア人選手に悲劇

この記事の要約

12日にカナダのバンクーバーで開幕した冬季オリンピックで、悲劇が起きた。リュージュ1人乗りのグルジア代表として参加したノダル・クマリタシビリ選手が、開幕式の数時間前に行われた最終練習で鉄柱に激突し、死亡した。グルジアでは […]

12日にカナダのバンクーバーで開幕した冬季オリンピックで、悲劇が起きた。リュージュ1人乗りのグルジア代表として参加したノダル・クマリタシビリ選手が、開幕式の数時間前に行われた最終練習で鉄柱に激突し、死亡した。グルジアでは一時、選手団の全員引き揚げも検討するなど、競技どころではなく悲しみに包まれている。

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リュージュは、そりに仰向けに乗りコースを滑る速さを競うレース。今回の五輪で採用されたコースは“超高速”と言われ、そりの最高速度は時速150キロ近くにも達する。クマリタシビリ選手は時速144キロで最終カーブから1つ前の第16カーブに侵入、そりのコントロールを失って体が宙に浮き、コースに沿って立っていたむき出しの鉄柱に頭を打ち付けた。

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この事故を調査した国際リュージュ連盟は、「人為的ミスによるもので、コースに欠陥はない」と結論付けた。だが、事故が発生したカーブは難所であると指摘されていたにもかかわらず、防御壁は人の腰から胸ほどの高さしかなく、コースに沿って立つ鉄柱に緩衝材が巻かれるなどの配慮もなかった。グルジアのサアカシビリ大統領は五輪組織委の怠慢を非難するわけではないと強調しつつ、「競技者から『もう少し防御壁を高くするべきだ』との声が上がっていたと聞いた。主催者が、この声にもう少し耳を傾けてくれていたら」と嘆いた。

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一部の大会関係者は、クマリタシビリ選手の経験のなさが事故を招いたと主張しているが、これにも大統領は「彼は全欧州を転戦し、参加するためだけでなく勝つために五輪に来ていた」と反論した。同選手は父もリュージュ選手、伯父にはフランスチームのコーチを務めるなど、リュージュ一家で育った。大統領は、“クマリタシビリ”の名を冠したリュージュ施設の建設と、年1回の記念大会開催を約束した。

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