ルサールの代表監査役を突然辞任して注目されたヴィクトル・ヴェクセリベルク氏(54)は米誌『フォーブズ』の長者番付で世界64位、ロシアで8位、推定資産総額124億米ドルの億万長者だ。モスクワ鉄道交通大学(MIIT)を卒業し、1980年代にはモスクワのKonnasで採油設備の開発に携わった。
\このころの同氏を知る人は「いつも快活で、パーティーの中心だった」と回想する。また、「独創的で常に指導的役割を引き受けていた」という。ヴェクセリベルク氏は能力を認められてKonnasの社長まで昇進し、同社株を段階的に取得。最後には完全買収した。しかし、のちに億万長者になるとはだれも予想していなかった。
\ヴェクセリベルク氏は使用済みケーブルから得た銅スクラップを外国で売って「最初の百万ドル」を稼ぎ出したという。1990年に投資会社Renovaを設立。石油、ガス、金属、鉱山、エネルギー、建設、電気通信へと投資分野を広げた。
\2010年にはメドベージェフ大統領からロシア版シリコンバレー「スコルコボ技術革新センター」の代表取締役に任命された。スコルコボのガリトスキー取締役はヴェクセリベルク氏について、他人の経験を吸収しながらも決定は独自に下し、「責任感が強く、何かを始めたら最後まで見届ける」人物と話す。また、実業家の大物には珍しく広い交友関係を持ち、前回の誕生パーティーでも訪れた沢山の客一人一人と言葉を交わしていたという。
\ロシアの長者らしく高価な趣味も持つ。金細工師のファベルジェがロシア皇帝の依頼で制作したインペリアル・イースター・エッグの収集家として知られ、2006年にはサンクト・ペテルブルグに美術館を開館して他の美術品とともに展示している。
\余暇には読書を楽しむ。『ドクトル・ジバゴ』で知られるボリス・パステルナクの著作が特に好きという。
\家族は妻のマリーナ・ドブリニーナさんと、一男一女。マリーナさんは精神病患者を対象にした慈善団体「Dobry Vek」を運営する。(ルサールについては今週号「ルサールの代表監査役が辞任、経営方針で社長と対立」を参照)
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