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2010/5/26

コーヒーブレイク

墜落したポーランド大統領機操縦室に部外者2人

この記事の要約

ポーランドのカチンスキ大統領ら乗員乗客96人全員が死亡した4月10日のポーランド大統領機墜落事故を調査しているロシア=ポーランド合同調査委員会は20日、調査結果について中間発表した。このなかで、事故直前のコックピットに部 […]

ポーランドのカチンスキ大統領ら乗員乗客96人全員が死亡した4月10日のポーランド大統領機墜落事故を調査しているロシア=ポーランド合同調査委員会は20日、調査結果について中間発表した。このなかで、事故直前のコックピットに部外者が2人いたことが明らかにされた。

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この部外者が誰だったのか公表されていないが、ロシア日刊紙『コメルサント』が報じたところによると、ブラシク空軍司令官と外務省外交儀典長のカザン氏。当初から事故原因は、式典出席への遅れを嫌った大統領とその側近らが、悪天候のなかパイロットに着陸を強行させたとの見方が強く、2人の存在はこれを裏付けるものとして注目されている。

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ただ、『コメルサント』紙にロシア側専門家が語ったところでは、「部外者の声は非常に穏やかで、脅迫したり罵声を浴びせていた様子ではない」としている。ポーランドでは、大統領機を含む軍用機では部外者によるコックピット立ち入りが法律的に認められているといい、調査委内では「部外者の存在が事故の直接原因だとは思えない」との意見で一致している。

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一方、とくにロシア側の調査委が強く指摘するのは、パイロットら乗務員のミスだ。大統領機が向かっていたスモレンスク空港は、ふだん軍用機やテスト飛行にのみ用いられ、旅客機の乗降を受け付けていない。このため、自動操縦で着陸を誘導するシステムを空港は備えておらず、パイロットは手動により着陸を行わなければならないが、事故機の機長は事故の5秒前まで自動操縦のまま。さらに、乗務員の大半は「数日間フライトをこなした程度」(調査委のモロゾフ技術委員)と経験不足。滑走路手前のくぼ地に入ったところで高度を勘違いし、危険な水準まで高度を下げたとロシア側は結論付ける。

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このほか「スモレンスク空港への着陸には1,000メートル以上の視界が必要だが、ポーランド大統領機の到着時は濃霧で200メートル以下に落ちていた」「代替空港への着陸を管制官が指示したのに、機長は無視した」などの指摘が並ぶ。また乗客のなかには、計器に異常を生じさせる可能性があるため通常は使用が控えられる、携帯電話で通話していた者もいたという。

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そもそも大統領機はワルシャワ出発が遅れ、その間にスモレンスク空港周辺で霧が濃くなった。よく「事故原因はひとつではない」といわれるが、今回もまた然り、のようだ。

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