2010/6/2

総合・マクロ

ベラルーシが関税同盟から離脱、ロシアとカザフで経済統合強化へ

この記事の要約

ロシアのプーチン首相とカザフスタンのマシモフ首相は5月28日、サンクトペテルブルクで会談し、7月から共通化した関税法典を導入することで合意した。これにより関税政策を完全に統合し、1月に発足させた関税同盟を強化する。ただ、 […]

ロシアのプーチン首相とカザフスタンのマシモフ首相は5月28日、サンクトペテルブルクで会談し、7月から共通化した関税法典を導入することで合意した。これにより関税政策を完全に統合し、1月に発足させた関税同盟を強化する。ただ、両国とともに関税同盟に参加していたベラルーシは「重要な問題での不一致」(シドルスキ首相)を理由に会談を欠席。ロシアとカザフは2国で世界貿易機関(WTO)加盟を目指す方針を明らかにし、ベラルーシは事実上、関税同盟から離脱した。

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関税同盟をめぐる協議は27日から開始され、同日の協議にはベラルーシのシドルスキ首相も出席。この席でシドルスキ首相は、ロシアがベラルーシに輸出する原油、天然ガスの関税撤廃に応じれば、ベラルーシのガス輸送網を運営・管理する国営企業「ベルトランスガス」と、国内に2つあるロシア産原油製油所の1つである「モズィルスク製油所」の経営権をロシア側に譲渡する用意があると表明、ロシアに妥協を呼び掛けた。

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だが、ロシアのセチン副首相は「ベルトランスガスの50%は、すでに(ロシア国営企業の)ガスプロムの手中にある。ロシアにとり、残り50%の取得は何の利益にもならない」と、ベラルーシの提案を一蹴。ガスプロムも「ベラルーシが債務を返済するまで、協力することはない」として、約2億ドルに膨らんだ同社向け債務をまず返済するよう、ベラルーシに要求した。

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ベラルーシは関税同盟発足以降、原油、天然ガスの関税撤廃を主張。ロシアはベラルーシに輸出する原油の約3割に当たる630万トンを同国国内消費用とみなし、非関税とすることに同意したものの、残り7割については従来適用していた36%の関税低減措置を廃止した。ベラルーシの独立系シンクタンク、Misesセンターがロシア経済紙『ベドモスチ』に語ったところによると、低減措置廃止によるベラルーシ製油業界への打撃は非関税で得る利益よりはるかに大きいとして、「ベラルーシは差し引きで年間50~60億米ドルの損失。政府が3カ国関税同盟を進める経済的メリットがなくなっていた」と分析する。

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一方、プーチン首相は「ベラルーシに関税同盟への扉は開かれている」と述べ、ベラルーシに復帰の意思があれば歓迎する意向を示した。だが、WTO加盟については「3カ国より、2カ国で申請するほうがもちろん簡単だ」としてベラルーシとの連携を排除し、カザフスタンとのみ進める考えを示唆した。

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