中東欧の不動産市場は、金融危機の打撃から回復に向かっているようだ。墺大手銀行エルステ銀行が9月24日発表した報告書『CEEリアルエステート』によると、2010年上期における中東欧のオフィス物件への需要は前年同期比36%増の138万平方メートルに拡大した。空室率は前年同期比0.3ポイント減の15.5%に改善し、07年下期以来初めて下落に転じた。最もオフィス需要が高いのはモスクワで、新規入居の賃料は金融危機以前の水準に戻りつつある。
\不動産投資も活発だ。10年上期の投資額は前年同期比190%増の17億ユーロに急伸した。オフィス部門の投資額はポーランド、ロシア、チェコが多く、3カ国で全体の97%を占めた。
\エルステ銀行のチーフアナリストのアルトナー氏は、「中東欧の不動産市場は、持続的な価格上昇とイールドコンプレッション(還元利回り)の低下というトレンドに入りつつある」とする一方で、空室率が依然として高水準にあることや、完了を控えている開発プロジェクトが多いことなどから考えて、賃貸料の上昇に伴う不動産価値の実質的な上昇は2011年末以降になるとの見方を示した。
\